197 / 260

第197話

家に着いて、佑嗣が部屋まで来てくれた。 「…流石に今日はいなかったな」 「うん」 「別れるって言ってたもんな。直接会ってんのかな…。澪央ちゃんって祥馬のこと結構好きな感じ?」 微妙に失礼な質問だなぁ。 「好きだと思うよ。まぁ俺から見たら、祥馬の方が好きって感じだったけど」 「そっか〜あっさりは別れられないかもしれないな」 少し不安なことがある。 それは、祥馬がなんと言って桐崎さんに別れを切り出すかだ。 と、そんなことを思っていると、突然俺のスマホが音を立てた。 画面を見ると、久々に見た名前。 少し驚いた。 「ん?誰?」 俺の表情を見て、佑嗣が首を傾げて手元のスマホを覗き込んだ。 「椎河妃捺って、瑛翔の元カノだっけ?澪央ちゃんの友達の」 「うん…桐崎さんのことかも」 手元で鳴り続けるスマホ。 俺は通話ボタンを押して耳に当てた。 『あっ…急にごめ『瑛翔くん!?』 椎河さんの声が聞こえたと思ったらすぐに、桐崎さんの声が乱入してきた。 『もしもし?急にごめんね。妃捺に頼んで、瑛翔くんに電話してもらったの』 桐崎さんの声はどこか涙声に聞こえる。 『さっき、祥馬くんと会ったんだけど、別れたいって言われたの。好きな人が出来たから別れたいって…』 好きな人… 『でも、私納得できなくて…っ…逃げてきちゃった。それで、瑛翔くん、祥馬くんの好きな人って誰か知ってる?』 言葉に詰まる。 『やっぱり知ってるんだね』 俺の反応に、桐崎さんはそう呟いた。

ともだちにシェアしよう!