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第197話
家に着いて、佑嗣が部屋まで来てくれた。
「…流石に今日はいなかったな」
「うん」
「別れるって言ってたもんな。直接会ってんのかな…。澪央ちゃんって祥馬のこと結構好きな感じ?」
微妙に失礼な質問だなぁ。
「好きだと思うよ。まぁ俺から見たら、祥馬の方が好きって感じだったけど」
「そっか〜あっさりは別れられないかもしれないな」
少し不安なことがある。
それは、祥馬がなんと言って桐崎さんに別れを切り出すかだ。
と、そんなことを思っていると、突然俺のスマホが音を立てた。
画面を見ると、久々に見た名前。
少し驚いた。
「ん?誰?」
俺の表情を見て、佑嗣が首を傾げて手元のスマホを覗き込んだ。
「椎河妃捺って、瑛翔の元カノだっけ?澪央ちゃんの友達の」
「うん…桐崎さんのことかも」
手元で鳴り続けるスマホ。
俺は通話ボタンを押して耳に当てた。
『あっ…急にごめ『瑛翔くん!?』
椎河さんの声が聞こえたと思ったらすぐに、桐崎さんの声が乱入してきた。
『もしもし?急にごめんね。妃捺に頼んで、瑛翔くんに電話してもらったの』
桐崎さんの声はどこか涙声に聞こえる。
『さっき、祥馬くんと会ったんだけど、別れたいって言われたの。好きな人が出来たから別れたいって…』
好きな人…
『でも、私納得できなくて…っ…逃げてきちゃった。それで、瑛翔くん、祥馬くんの好きな人って誰か知ってる?』
言葉に詰まる。
『やっぱり知ってるんだね』
俺の反応に、桐崎さんはそう呟いた。
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