199 / 260
第199話
「祥馬はどうするつもりなんだろうな」
「分からない…」
やっぱり別れない、っていう選択肢が、祥馬にあるかもしれない。
桐崎さんに別れたくないと言われて、決心が揺らいでるかもしれない。
拒む俺より、求めてくれる桐崎さんの方がいいと、思ってるかもしれない。
その時、再びスマホが鳴り響く。
「今度は誰?鷹来か?」
画面を見ると、表示されているのは祥馬の名前だった。
「祥馬かよ」
「…どうしよう」
「出なくていい」
佑嗣にそう言われて、俺はただ鳴り続ける画面を見ていた。
そのうち切れた。
そして、メッセージが届いた。
"澪央と別れてない。でも、俺はお前のこと諦めないから。ちゃんとケリつけるから。"
「どうして…」
続けてまたメッセージが届く。
"瑛翔だって本当はまだ、俺のこと好きだろ?お前だけを愛すから"
痛かった。
とにかく、祥馬の気持ちが。
「痛い…」
「瑛翔」
顔を上げると、佑嗣が俺を真剣な表情で見つめていた。
「違うでしょ瑛翔。痛がる必要なんてないんだよ。祥馬は何もかもが遅かった。瑛翔は祥馬の気持ちを受け取れない。それが全てでしょ?」
ともだちにシェアしよう!