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第199話

「祥馬はどうするつもりなんだろうな」 「分からない…」 やっぱり別れない、っていう選択肢が、祥馬にあるかもしれない。 桐崎さんに別れたくないと言われて、決心が揺らいでるかもしれない。 拒む俺より、求めてくれる桐崎さんの方がいいと、思ってるかもしれない。 その時、再びスマホが鳴り響く。 「今度は誰?鷹来か?」 画面を見ると、表示されているのは祥馬の名前だった。 「祥馬かよ」 「…どうしよう」 「出なくていい」 佑嗣にそう言われて、俺はただ鳴り続ける画面を見ていた。 そのうち切れた。 そして、メッセージが届いた。 "澪央と別れてない。でも、俺はお前のこと諦めないから。ちゃんとケリつけるから。" 「どうして…」 続けてまたメッセージが届く。 "瑛翔だって本当はまだ、俺のこと好きだろ?お前だけを愛すから" 痛かった。 とにかく、祥馬の気持ちが。 「痛い…」 「瑛翔」 顔を上げると、佑嗣が俺を真剣な表情で見つめていた。 「違うでしょ瑛翔。痛がる必要なんてないんだよ。祥馬は何もかもが遅かった。瑛翔は祥馬の気持ちを受け取れない。それが全てでしょ?」

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