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第207話

「え?」 「鷹来くんが先に、俺のこと名前で呼んで」 「……っ、」 すると恥ずかしそうに口元を手で覆って、鷹来くんは目を伏せた。 え…? えっ…!? ちょっと待って、なにその反応。 「…かわいい」 ボソリと呟くと、その声は鷹来くんに届いていたみたいで、変わらず恥ずかしそうにしながら俺を見た。 「かわいいのは…瑛翔でしょ」 「ふっ、なんか照れてる鷹来くんって新鮮っていうか…やっぱりかわ…んぐっ」 かわいいって言おうとしたら口を手で塞がれた。 「違うでしょ?」 ゆっくりと手を離されて、指先が唇を撫でて、そのまま顎に触れ上を向かされた。 「っ…珀音かわいんんっ…」 また、かわいいって言おうとしたら今度は唇で口を塞がれた。 「んっ…」 俺は鷹来くんの首に腕を回した。 「たか、んぅ…」 「違うよ」 唇が離れる。 俺を見下ろす表情が意地悪だ。 呼び慣れないから、つい苗字で呼んでしまう。 「…珀音」 「ん」 満足そうに笑う珀音。 今度は俺からキスをした。 「神代…」 「んっ」 触れるだけの軽いキス。 「珀音は俺のことは名前で呼んでくれないの?」 「っ…!あーもう!恥ずかしいんだよ!」 そう言って額を俺の肩にくっつけた。 「俺には名前で呼ばせるくせに…」 こんなに照れてる珀音、貴重だなぁ…。

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