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第211話
「じゃあ瑛翔、鷹来、また明日」
佑嗣はそれだけ言って部活へと向かった行った。
「瑛翔、俺たちも帰ろっか」
「うん」
と、教室を出ようとした時だった。
「あ、鷹来〜ちょっと来い」
「えー?」
「いいから早く」
まだ教室に残っていた担任の先生が珀音を呼んだ。
珀音は教卓まで行き、先生と何やら話している。
何の話をしているかまでは聞こえないけれど、珀音の顔が歪んだのは見えた。
どうしたんだろう?
先生は教室を出て行った。
そして珀音は俺のところへと戻って来た。
「ごめん、瑛翔。謹慎中の課題の他に反省文出さないといけないのに忘れてて…今日中に出せって言われて…」
「あ、そうなんだ…じゃあ終わるまで待ってるよ」
「時間かかるかと思うけど…」
「大丈夫だよ。今日は一緒に帰りたいから…」
「…分かった。頑張って早く終わらせるから」
席に着いた珀音の前の席の人の椅子に座る。
すると、先ほど出て行った先生が教室に戻って来た。
チラリと見ると目が合った。
あ、まずいかも…
そう思った時には声をかけられた。
「神代、ちょっと手伝って欲しいんだけど、いいか?」
「えっと…」
珀音を見る。
「先生となら平気でしょ」
「…今行きます」
俺は席から立ち上がり、先生の元へと向かった。
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