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第212話

向かった先は資料室だった。 「この紙を仕分けて、3種類ずつで留めて欲しいんだ。全部で30部になると思うから」 「分かりました」 「じゃあ頼むな」 資料室から出て行こうとする先生を思わず引き止めた。 「え、どこ行くんですか?」 「これから職員会議なんだよ。すぐ終わると思うけど、終わったら戻って来るから。もし早く終わったらそこの机の上に置いといてくれれば帰っていいから」 「分かりました」 そう言って先生は出て行った。 一緒にやってくれないのか… 「とりあえず珀音に連絡しとこ…」 ポケットに手を入れたが、目的のものは入っていない。 鞄の中に入れていたのを思い出した。 また教室に戻るのは正直面倒だし、時間が勿体無い。 これくらいの量なら30分もかからずに出来そうだし、大丈夫かな。 そう思ってまずは仕分け始め、それが終われば今度はホチキスで留め始める。 無事全て終わったが、先生は戻っては来ない。 「置いて帰っていいって言ってたしいいか…」 俺は立ち上がり、纏めたプリントを机の端に揃えて置き、資料室の扉を開けた時、丁度前を通った人物と目が合った。 「あ、神代くんじゃん」 「えっと…誰?」 見覚えがあるような、ないような…? 「覚えてない?…って言っても直接会話したことはないか。前に保健室で会ったことあるんだけど」

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