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第214話
握手された手を離そうとするも、力を込められる。
「ちょ、」
「その噛み跡の相手って、あの時一緒に保健室に来てた人?」
「違っ…」
「あ、なんだ。違うんだ?でも傷は新しかったし、学校で付けられたんでしょ?」
なにこの人…
なにがしたいの…?
「まぁそんなこといっか。それよりさ、そのアブノーマルなプレイ、俺ともしよ」
「は…?」
「あ、俺ゲイなんだよね。ついでに神代くんの顔、超タイプ」
「え…?」
葛西くんの口から次から次へと語られる言葉に思考が全く追いつかない。
待って、
葛西くんは、ゲイで?アブノーマルで?俺の顔がタイプ?
ん?
「神代くんはされる方が好き?する方も好き?」
「いや、俺は…」
「俺はされる方が好きだから…はいっ」
「んぐっ!?」
突然口の中に中指と人差し指が入れられた。
その指は口内をぐるりと回る。
俺はその手首を掴む。
「ほら、噛んでよ」
「…!?」
「甘噛みじゃないよ。思いっきり噛んで?」
え、なにこの人…
はい、分かりました、で噛める訳ない。
そんな知らない人なのに。
突然口の中に指入れるってどういう…
なんて考えてたら反対の手で顎を撫でられた。
「っ…」
「ふふっ、良い顔。ますます興味湧いて来ちゃった。ねぇ、噛めないなら手伝ってあげる」
「…?」
なにをするのかと思えば、首筋に爪を立て容赦なく力が込められた。
「ッ…!」
「…ぃっ…!」
俺は口内に入っていた指を思い切り噛んでしまった。
そして、ほんのり口の中に鉄の味が広がった。
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