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第215話

「…ふふ」 葛西くんは指を俺の口の中から引き抜いて、血の滲む指先を見て笑った。 怖っ。 この人、頭おかしい。 「俺さぁ〜血見るとつい魅入っちゃうんだよねぇ。前に保健室にいたあの時も、結構な怪我したのに、止血もしないで血を眺めてたら軽く貧血起こしちゃってさぁ」 「あの、俺はそういうのは…」 「あの時の神代くん羨ましかったなぁ…」 「は…?」 「だから、あんな風な傷、俺にも付けてよ」 「なにを言ってるの?」 俺は後退りする。 アブノーマル過ぎて、もはやドン引きレベルだ。 「いいでしょ?」 葛西くんは近づいて来て、俺の髪を掴んだ。 「全然よくないっ…」 「大丈夫だよ。神代くんもされるのが好きなら、きっとする方も好きだから」 無理矢理葛西くんの首元に顔を寄せられる。 「次はここ」 俺はそんなことしたくない。 俺は… 「されるのもするのも好きじゃないっ」 力いっぱい葛西くんを押した。 そうすれば葛西くんはよろけて、数歩後ろへ下がった。 そこで、開けっ放しになっていた扉の方から声がした。 「何してんの?」

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