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第219話
職員室に反省文を提出して、俺たちはそのまま帰路に着く。
珀音は当然のように俺と同じ方面へと歩き出す。
「でも何で急に陽葵と神代が会ったんだ?」
「資料室で作業してて、終わって戻ろうと資料室出たらバッタリ会って、そのままぐいぐい来られて…」
「あー…陽葵は変わらないな」
さっきから、モヤモヤする。
「陽葵は神代のこと知ってたの?」
「前に、保健室で会ったことあって…話したことはなかったんだけど…」
「また貧血でも起こしてたのか…」
その通りだ。
葛西くんは言ってた。
軽く貧血を起こしたって。
葛西くんのこと、よく分かってるんだな。
遊び相手だったのに…
「っ…!」
「ん?どうかした?」
「…ははっ」
「え、何急に、神代?」
突然笑い出した俺に、珀音は驚いた様子で俺を見つめる。
「俺も、人に嫉妬するんだなぁって…」
「え?嫉妬?」
「俺、今葛西くんに嫉妬してる。葛西くんは遊び相手だったのに、って…」
「……それは、」
「それに、気づいてる?さっきからずっと、俺のこと"神代"って呼んでる」
「え…」
嫉妬するって、こんな気持ちなんだ。
「嫉妬するのって、やだね。モヤモヤして、気持ち悪い。相手のこと悪く思いたくないのに、色々考えちゃって…」
「ふっ…ははははっ」
今度は珀音が笑い出した。
「ちょ、何で珀音が笑うの?」
「っごめん、瑛翔。嬉しくて…今すぐ抱きしめてキスしたい」
「こんなところでだめだよ!?」
「分かってるよ。来て」
手首を掴まれ、引かれる。
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