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第223話

「瑛翔…」 「いやだ…」 「瑛翔こっち見ろ」 「見たくない」 「そうやって俺と向き合わないでままずっといんのかよ?」 俺は祥馬と向き合えてない? 視線の話じゃない。 「ちゃんと考えたなら、それでいい。でも、お前本当に俺に本音言った?」 「っ…」 「言ってねぇだろ」 「言った!」 俺がパッと視線を上げると、祥馬と目が合った。 そして、掴まれたままだった手に力が込められた。 「っ…痛い」 「言えよっ」 「もうこれ以上、俺の中をかき乱さないでよ」 「かき乱されてんの?」 「っ…」 「…それってまだ俺にも可能性があるってことだよな?」 「違うっ…」 「瑛翔」 「そんな風に呼ばないで…っ」 そんな、愛おしそうな、優しい柔らかい声で、 呼ばないで。 「瑛翔、」 「呼ぶなっ!」 掴まれた腕を力一杯思い切り振り払った。 「…俺が好きだって言ったあの時、祥馬が俺のことを気持ち悪いって言った。あの時に、全部終わったんだよ」 「あの時はそうだったかもしれない。でもっ」 「俺にとっては!あの時が全てだった!」

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