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第225話
「祥馬が桐崎さんのことを紹介してきた時はショックだった」
「っ…」
「俺が祥馬のこと好きなんて知らないんだから、仕方ないんだけど。それに、俺は好きだと伝える気はなかったんだよ」
「…そう、だよな…好きだって言ったのは言い合いになって…」
「うん、口が滑ったんだよ。でも、あの時、気持ち悪いって言われても、ちゃんと伝えてればよかったって、少し後悔してる」
「いや、あれは俺がっ…」
俺は首を振る。
「どっちが悪いとかじゃないよ」
「でも、」
「あとは、…」
「…何…?」
「桐崎さんをどう誘えばいいか聞かれた時は辛かったな」
「…っ!!」
あの時は、
「こっそり泣いたんだ」
「ごめ、ん…」
「だから、謝らないでよ」
「…」
「その後さ、できたって報告してきたでしょ」
「っ!…」
「あんな報告されたくなかった。限界だったんだ。それで、椎河さんとも別れた」
「瑛翔…」
祥馬は変わらず泣きそうで、こんな表情を見たのは初めてかもしれない。
「…文化祭の時も、辛かったな。祥馬、俺がいるって分かってて桐崎さんと…」
「瑛翔っ、ごめん。…泣くなよ」
いつの間にか、俺は泣いていた。
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