228 / 260

第228話

「あ、違うんだよ」 俺がフォローしようとしたら、祥馬が一歩前に出た。 そして、頭を下げた。 驚きで目を見張った。 「今までのこと、悪かった」 「え?」 珀音も突然謝られてポカンとしている。 「さっきまでは、奪おうと思ってたんだけど、」 「は?」 「え?」 珀音と俺の声が重なった。 「瑛翔の本音、ちゃんと聞いたから」 「本音?」 珀音はどういう意味だと首を傾げている。 今までの気持ちを、珀音に全部は話していない。 珀音は俺を見る。 「本音って何?」 「んー…まぁ、整理したんだよ。思ってたこととか全部。それを思い出しながら、祥馬に話した」 「そう…」 「諦めることにした」 そう言った祥馬の顔はどこかスッキリしたような表情で、明るかった。 「久城…本当にそれでいいのか?」 「ははっ…珀音、それ今聞くか?本当は良くない。全っ然良くないけどさ、瑛翔の話聞いたら、幸せになってほしいと思ったんだよ。本音は、俺が幸せにしたいけど、それは無理だって分かったから」 祥馬は一瞬泣きそうな表情になる。 「瑛翔、今まで何度も傷つけてごめんな。気づかない間に傷つけてたことも、わざとつけた傷も、全部。珀音も、酷いことさせてごめん。しばらくは無理かもしれないけど、またいつか友達に戻りたい」 「祥馬…」 「じゃあ俺先行くな」 そう言って、祥馬は公園を出て行った。

ともだちにシェアしよう!