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第228話
「あ、違うんだよ」
俺がフォローしようとしたら、祥馬が一歩前に出た。
そして、頭を下げた。
驚きで目を見張った。
「今までのこと、悪かった」
「え?」
珀音も突然謝られてポカンとしている。
「さっきまでは、奪おうと思ってたんだけど、」
「は?」
「え?」
珀音と俺の声が重なった。
「瑛翔の本音、ちゃんと聞いたから」
「本音?」
珀音はどういう意味だと首を傾げている。
今までの気持ちを、珀音に全部は話していない。
珀音は俺を見る。
「本音って何?」
「んー…まぁ、整理したんだよ。思ってたこととか全部。それを思い出しながら、祥馬に話した」
「そう…」
「諦めることにした」
そう言った祥馬の顔はどこかスッキリしたような表情で、明るかった。
「久城…本当にそれでいいのか?」
「ははっ…珀音、それ今聞くか?本当は良くない。全っ然良くないけどさ、瑛翔の話聞いたら、幸せになってほしいと思ったんだよ。本音は、俺が幸せにしたいけど、それは無理だって分かったから」
祥馬は一瞬泣きそうな表情になる。
「瑛翔、今まで何度も傷つけてごめんな。気づかない間に傷つけてたことも、わざとつけた傷も、全部。珀音も、酷いことさせてごめん。しばらくは無理かもしれないけど、またいつか友達に戻りたい」
「祥馬…」
「じゃあ俺先行くな」
そう言って、祥馬は公園を出て行った。
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