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第229話
「いつの間に解決してんの」
「本音言えって言われて、気づいたんだ。俺、祥馬と向き合えてなかったみたい。今まで思ってたこと全部言ったらこうなった」
「…そっか。何もなくて良かったよ」
「うん」
珀音は優しく笑うと、また俺の頭をポンと撫でた。
見上げると目が合った。
「ん…」
そして唇が重なった。
触れるだけで離れて物足りないけど、もう学校に向かわないと遅刻する時間だ。
「もう一回…」
「だめ、珀音遅刻したら留年でしょ?早く行くよ」
「ええー?」
不満そうな声を上げながらもう一度顔を近づけてくる珀音を押しやり、小走りで公園を出た。
珀音は不満気だけど、俺の後ろを追いかけて来た。
「昼休み、覚悟しといて」
「えっ」
「ほら、早く」
「ちょ、っ!」
腕を掴まれて思い切り走り出す。
あんなに辛かったのに、
何度も泣いたのに、
傷つけられて、傷つけて、
それでも今、
なんだか気持ちは晴れやかだ。
3年の片想いが、本当の意味で終わった気がした。
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