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第231話

それから担任となる先生が来るまで、女の子たちの相手をしていた。 先生が来れば女の子たちは自分の席へと散っていく。 「大変そうだね」 前の席の人から声を掛けられた。 「うわっ」 「なにその反応、酷いなぁ?」 「同じクラスだったんだ…しかも前の席って」 「葛西と神代だもん」 前の席に座っていたのは葛西くんだった。 あの日から一切話してはいなかったし、そもそも遭遇することもなかった。 「女の子にモテモテだねぇ?」 「別に…」 「でも男の子にもモテモテだよね?」 「はぁ?」 「だって、久城くん」 あの日、俺は逃げるように教室を出たけど、あの後二人がどんな会話をしたのか、俺は知らない。 会話をしたのかも分からないけど。 何を言おうとしてるのか分からないけど、 「それより、そろそろ前向いたほうがいいよ」 担任の先生はこちらを、というか葛西くんを見ている。 俺はちゃんとまっすぐ向いている。 「は?どういう意味…」 「よし、じゃあクラス委員は葛西でいいな?」 「えっ!?」 バッと葛西くんは前を振り返る。 「だって俺の話も聞かず、ずーっと後ろ見てるから」 「あははっ、でも分かるー!神代くんの顔眺めてたいよね」 「確かに男から見てもカッコいいもんなー!神代」 なんて、何のフォローにもなってない言葉が葛西くんの隣の席の女の子や前の席の男子から飛び交い、クラス中に笑いが起こる。 「俺はやりたくないです」 「じゃあちゃんと前向けー」 葛西くんはおとなしく前へ向き直った。 葛西くんと同じクラスなんて先行き不安過ぎるな。 そしてその不安は、俺を苦しめることとなる。

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