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第234話

丁度その時だった。 教室の扉が開いた。 「瑛翔帰ろーって…陽葵?二人で何話してたの?」 「いや、別に…」 珀音と目が合うも、気まずくてすぐに逸らした。 「珀音くん、まだ神代くんとセックスしてないんだね?」 「は?」 「恋人は大切にするのかな?」 「陽葵お前…」 「俺知ってるよ。俺と遊んでた時も、他に何人も相手がいたこと。それが今更、一人を大切になんてできるの?」 「っ」 なに なにが起こってるの? 珀音には、そういう遊び相手がそんなにたくさんいたの? 「神代くん、珀音くんに飽きたら俺と遊んでね。じゃあまた明日ね」 ひらひらと手を振って、葛西くんは教室を出て行った。 「瑛翔、陽葵から何か言われた?」 「…俺たちが付き合ってるの、確信はなかったみたいなんだけど、俺カマかけられて、気づかれたみたい」 「そっか」 「言いふらしはしないって言ってたけど…」 そんなことより、だ。 「…あのさ、正直に言って欲しいんだけど、珀音はその、葛西くんみたいな人って同時に何人くらいいたの?」 俺は珀音とは視線を合わせられずに尋ねた。 「…陽葵含めて、5人」 俺と付き合う前のことだし、今更どうこう言ったって意味はない。 分かってる。 分かってるけど…それでも… 「…俺とも、遊びの方が楽なんじゃないの?」 こんなこと、言いたくないのに、勝手に言葉が零れていく。

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