236 / 260
第236話
「しないよ。今の珀音は昔の珀音とは違うんでしょ?」
「違う」
「俺だって、ちゃんと付き合ってたとはいえ、愛のない行為をしてきたから…珀音の気持ちも少しは分かる。どんなに後悔しても過去は変えられないから、これからの未来を俺と…っ!」
言葉を紡いでる途中でギュッと抱きしめられた。
「俺の未来は、瑛翔にあげる」
「…うん」
「…代わりに瑛翔の未来を俺にくれる?」
「ふはっ、なにそれ…プロポーズみたいだよ」
俺を抱きしめる腕に力が込められる。
「みたいじゃない」
「…っ…」
「瑛翔、」
「うん、あげる。俺の未来」
そして俺たちは温かい、愛の籠ったキスを交わした。
「それにしてもそんなにそういう相手がいたなんて…」
「思春期だから…」
「そういえば俺に触らせてきたよね」
「何を?」
「勃った、とか言って」
「あー…その節は失礼しました」
「まさか好きになるなんて」
「まさかとか言うなよ」
「ふっ、まさか、だよ。俺は忘れるために女の子と付き合ってたくらいだったんだから。俺本当に最初の頃は珀音のこと変態だと思ってたし、あの時はこれ以上関わりたくないと思ってた」
「ひどいな」
「でも今は好きだよ」
「俺も」
「うん」
ともだちにシェアしよう!