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第240話
「うざ…」
「ぶはっ、久城ウザいってさ」
「そもそも珀音のせいだから」
睨みつけると珀音はニッと笑った。
「なに笑ってんの」
「はいはい、イチャついてないで帰れよ」
しっしっと手で払う仕草をする祥馬。
祥馬とも随分普通に話せるようになったと、思う。
サッカー部にも戻れたら良かったんだけど、さすがにそれはもう出来ない。
夏には引退だし、
正直なところ、前みたいな連携プレーが祥馬と出来る気がしない。
それは祥馬も同じだと思う。
表面上は友達には戻れても、親友には戻れない。
「瑛翔?」
「ん、なに?」
「いや、考え事?」
「ううん、ぼーっとしてた」
最初は祥馬とのことがあって俺を家まで送ってくれていたけれど、それがなくなった今でも珀音は俺を送ってくれる。
「そういえば陽葵から他に何か聞いてる?」
「え…」
「さっきは嫉妬されて嬉しいなんて言ったけどさ、嫌な思いさせてごめん」
「いや、」
「聞き流すのは難しいかもしれないけど、何か言われたら教えて」
「うん」
「じゃあまた明日」
「ん、ありがとう。じゃあね」
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