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第241話
次の日も珀音と一緒に登校して、教室の扉の前で分かれようとした時、
「じゃあ…」
「ちょっと待って」
扉の前まで一緒に来て、待ってと言った珀音は教室の中を覗き込んだ。
その視線の先には葛西くんが。
葛西くんは俺たちに気づくと、にっこり笑いかけてきた。
「神代くんおはよ、珀音くんも」
「…おはよ」
「陽葵。瑛翔に変なこと言うのやめろよ」
「変なことって?」
「…俺たちはもう何の関係もない。終わった過去のことを瑛翔に話すなって言ってんの」
「…どうして?むしろ、終わったことなら話しても良くない?」
葛西くんの言葉に珀音は溜め息を吐いた。
「良くないから言ってる。分かった?」
「残念だなぁ…神代くんに聞いてもらいたい事たくさんあるのに」
残念だと言うわりに表情は飄々としていて、葛西くんが何を考えているのかが相変わらず分からない。
「でも聞かれたら答えていいよね?」
「……瑛翔、陽葵には聞かないで俺に聞いて」
「うん」
「ふふっ、こんな珀音くん見たことないなぁ」
教室には続々と生徒が登校して来ている。
「ほら、そろそろ自分の教室行った方がいいんじゃない?」
葛西くんはそう言いながら珀音の背中を押した。
「っ…また来るから」
珀音は名残惜しそうに教室を出て行った。
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