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第242話
「神代くんも大変だね」
「なにが?」
「束縛されるの嫌じゃない?」
「そんな、束縛ってほどじゃ…」
そう、束縛って言うほどのものでもない。
俺は嫌だと感じたことはない。
むしろその逆で…
「なるほどね。神代くんはやっぱり俺と同じだね」
「は?」
「でもそれだと楽しめないんだよね」
「ちょっと」
「まぁ神代くん相手ならアリかな?」
「勝手に話を進めないで」
葛西くんは楽しそうに笑っている。
なにを考えているのか分からない。
そこで丁度予鈴が鳴り、先生が教室へ入って来て、話は中断された。
授業と授業の間の10分の休憩時間にすら、葛西くんは何かと話しかけてくる。
今朝、珀音に言われたからか、二人が遊んでいた時のことは一切口にしない。
代わりに、俺たちのことを色々聞かれる。
「ねぇ、いつからなの?」
「どっちが告白したの?」
「元々男が好きなの?」
と、流石に気を遣ってるのか、小さな声で話してるから周りには聞こえてないけど。
当然俺は何も答えない。
「ねぇ〜ちょっとは構ってよ」
「…やだよ」
「どうして」
「俺、葛西くんのこと嫌い」
「え、酷い…直接言うなんて」
「うるさい、もうこっち向かないで、永遠に前向いてて」
「それは無理」
俺は葛西くんが無理だ。
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