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第249話

「あぁ、悪い…掴んだままだった」 祥馬も今気づいたみたいで、パッと手を離した。 「っていうかセフレって…珀音お前セフレがいたのか?」 「元だから」 「遊んでることは知ってたけど…」 「久城には関係ないだろ」 「確かにな。お前のセフレも、元セフレも俺には関係ない。でも、瑛翔のこともちゃんと考えろよ」 祥馬の言葉に、珀音は祥馬から俺に視線を移した。 「何かあった?」 「ないよ」 即答した俺に、珀音はムッとした。 「久城には話したの?」 「なにもないって。祥馬、そうでしょ?」 「あぁ、瑛翔からは何も聞いてない」 「何で久城に聞くんだよ」 「だって珀音が俺のこと信じてないから」 「信じてないわけじゃない」 「今、ないって言ったのに祥馬には話したのかって聞いたでしょ。それってないって一回言った俺の言葉を信じてないってことでしょ?」 あぁ、もう…こんなこと言いたいわけじゃないのに。 「珀音、瑛翔が言ってることは本当だ。俺が葛西との関係を聞いたけど、瑛翔は言わないって言って俺には何も言わなかった」 珀音はチラッと祥馬を見てから、また俺に視線を戻した。 その目が少し怖くて、 「俺先帰るから」 そう言って横を通り過ぎようとした時、珀音は俺の腕を掴んだ。 「何でっ」 「っ…」 「珀音、落ち着けよ」 「大体っ久城が瑛翔のこと連れて行くから」 「は?そりゃお前が瑛翔のこと放置して葛西といつまでも喋ってるからだろ」 「そんな風に思ったの?」 「ち、ちが…俺は」 「あんなの見せられていい気分はしないと思うけどな?」

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