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第250話
「祥馬っ、もう余計なこと言わないで」
「余計なことじゃないだろ」
「…瑛翔は、俺が陽葵と話しててどう思った?」
そんなの、
「…嫌だったよ。二人が普通の友達だったなら、こんな風に思わない。たとえ俺の目の前で楽しそうにしてたって、嫉妬なんてしない。でも、二人はそうじゃないから…」
「瑛翔、」
「過去のことだって言われたらそれまでだけど、俺は…」
「瑛翔っ」
「なにっ…?」
思ったより大きな声が出た。
「ごめん、大きな声出して…」
「いや、でも、ちゃんと話したい。だから、今日は一緒に帰りたい」
「うん」
「はははっ」
突然、祥馬が笑い出した。
俺と珀音がほぼ同時に祥馬へ視線を向けた。
「いや、こんな瑛翔初めて見たわ。超貴重」
「…馬鹿にしてる?」
「してねぇよ。良いことだなと思って。俺のせいで今まで苦しい思いさせててごめんな」
ぎゅっと胸が痛くなる。
「ううん、、」
「珀音は思ってた以上にクズ野郎かもしれないけど、瑛翔がこんな風に嫉妬するくらい好きなら、俺は何も言わない。まぁ瑛翔、愚痴くらいいつでも聞くし、珀音が嫌になったらいつでも俺のところ来ればいいし」
「行かせないなら」
珀音が俺の手を掴み引いたと思えば、ぎゅっと抱き締められる。
「ははっ…はいはい、じゃあちゃんと捕まえておけよ」
祥馬はそう言い残して教室を出て行った。
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