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第252話
「お邪魔します…」
「今日誰もいないから」
珀音の家に来るのは初めてじゃない。
けど、なんだか少し緊張する。
「瑛翔って嫌いな食べ物ある?」
「ううん、ないよ」
「そっか了解。適当に寛いでて」
そう言った珀音はキッチンへ入って行った。
「珀音、料理出来るの?」
「簡単なものだけだけど」
そして10分程経って、出来上がったのは炒飯と中華スープだった。
「美味しい…」
「それは良かった」
ご飯を食べて、一緒に片付けをした。
先にお風呂を借りて、出てきた俺は珀音の部屋で出された課題をやっている。
そしてガチャリと部屋の扉が開いたそこには、まだ髪が濡れたままの珀音が立っていた。
「ちょ、髪濡れてるよ」
「あーすぐ乾くから」
「せめてもうちょっとちゃんと拭きなよ」
ぽたぽたと雫が床に落ちている。
珀音からタオルを奪い、わしゃわしゃと髪を拭いた。
「ちょ、雑っ…!」
「ふはっ…」
「あ、わざとかよっ」
ガシッと手首を掴まれた。
パサリとタオルが足元に落ちた。
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