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第254話
「ん?どうした?」
俺を見下ろす瞳に熱がこもっている。
「あの、俺がその、下っていうか…」
「……」
言い淀んでいると珀音は察したようだった。
「瑛翔が嫌なら、」
「嫌じゃないっ、珀音に触られるのは…き、もちいいし…その、嬉しい、けど…」
そう、俺は男の経験は全くない。
「その、…初めて、だし…珀音が酷く、するとは思わないけど、でも…」
「瑛翔、無理には…」
「怖い、けど…俺は珀音に触れられたい」
「っ…煽るなよ、」
「あっ…」
ズボンを下着ごと脱がされる。
「優しくするから…」
ちゅっと触れるだけのキスを落とされる。
それから宣言通り、珀音は優しく時間を掛けて俺に触れた。
珀音の額に滲む汗とか、
少し苦しそうな表情とか、
珀音から漏れる吐息とか、
自分のとは思えない声とか、
色んなことがさっきから頭の中を巡っている。
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