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第259話

2月の登校日。 家を出るとそこには佑嗣と珀音。 「佑嗣、おめでとう」 「ありがとう」 佑嗣は見事、志望大学に合格した。 「一人暮らしするんだよね」 「あぁ」 「寂しくなるなぁ」 「瑛翔には俺がいるでしょ」 「…あーそうだね」 「うわぁ、傷ついた」 相変わらず、俺と珀音は上手くいってると思う。 葛西くんは『二人とも幸せそうだからこれ以上意地悪しないであげるね』なんて俺に言ってきた。 意地悪してた自覚があったんだなと思ってそれを言ったら『神代くんは何気なく酷いことを言うよね』と言われた。 それから本当に葛西くんは俺に変な絡みをしなくなったし、変なことを言ってくることもなくなった。 今日は2回目の卒業式の練習で、次の登校が最後で、卒業式になる。 色々なことがあった三年間。 1年生の時は、一番近くに居れることがただ嬉しくて、 あの頃はまだ、気持ちを捨てたいなんて思ってなかった。 2年生になって、一番近い場所じゃなくなって、辛いばかりで、 この頃は、何度も捨てたいと思った。 それが出来なくて、泣いたこともあった。 突き放されて、虐げられて、毎日が辛くて仕方なかった。 それでも、捨てられなくて、 そんな時に、声をかけられた。

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