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第3話
翌年の秋、拾人お兄ちゃんは大学の単位という物を全て取り終えたらしく、教員試験も合格して先生になる春を待つだけになったらしい。
朝は小学校に歩いて送ってくれるし、帰りは迎えに来てくれるようになった。
僕は首輪を貰って婚約した時みたいにデート出来てハッピーライフを満喫している。
そして兄の朝陽君にも僕と同じΩの彼女が出来たらしい。
らしい、というのはまだ番を考える段階ではなくて出来立てカップルで、家に連れて来たりしないから。
朝陽君は十八歳で拾人お兄ちゃんと同い年だけどまだ高校に通っていて、来年の春から大学に通うそうだ。
僕の拾人お兄ちゃんのペースがやたらと早いのだと知ったのは、ここ最近の話だったりする。
冬になり、朝陽君が近々Ω彼女と番う事を許してもらう為に、今週末家に連れて来るんだって。
僕はとても嫌な予感がします。
だって、僕も朝陽君もまだ番ってないんだよ!!
Ωの彼女が拾人お兄ちゃんにヒートして掻っ攫ったとしたらどうするのっ!?
僕、そんな事になったら死んじゃうよ!!
しかも今週末って、明日じゃない。
拾人お兄ちゃん、もう帰った後だよ。
なんでそんな大事な事を今言うのっ!!
朝陽君、本当に抜けすぎ!!
僕でも思い付く不安なのに、花畑ドリームに住まう朝陽君には思いつかなかったようだ。
なんとなく、なんとなくだけど、彼女さんは朝陽君じゃなくて拾人お兄ちゃんを狙ってやって来るのではないかと被害妄想を始めてしまった僕は、一晩中眠れず朝を迎えてしまった。
僕は本当に不安で朝食の後に急いで拾人お兄ちゃんに会いに行く。
そして朝陽君の彼女さんが来る事を伝えると、拾人お兄ちゃんは目を丸くした後に僕を撫でながら「他の子なんて目に入らないくらい可愛い婚約者が目の前にいるよ」と、頰を赤く染めて言ってくれた。
拾人お兄ちゃんは未来の親戚として挨拶しに来るつもりだそうで、僕は益々不安を募らせてしまった。
肩をガックリ落として拾人お兄ちゃんと家に帰ると、女性サイズのキレイな靴が一足分並んでいる。
リビングには両親と向かい合わせに彼女さんと朝陽君が並んで座っている。
みんなが僕達に気付くと、彼女さんは慌てて自己紹介をした。
僕はボーっと聞いてるだけで、拾人お兄ちゃんが挨拶を返して彼女さんと目を合わせると、彼女さんは顔を真っ赤にしている。
そして、朝陽君とお父さんと拾人お兄ちゃんのα勢が驚いた顔をしている事から、彼女さんが拾人お兄ちゃんにヒートして誘惑を始めた事に気づいた。
ああ、やっぱり、、、。
僕は急いで拾人お兄ちゃんの腕を掴んで、拾人お兄ちゃんの家に引っ張って移動する。
あの後、向こうがどうなったかなんて知らない。
拾人お兄ちゃんを守る事だけで、僕は手一杯だからだ。
あの様子は抑制剤を飲まずに来たのだろう。
拾人お兄ちゃんはこの辺でとっても有名なハンサムさんだもの。
最初からその予定だったのだと、僕はそう当たりを付けた。
僕は拾人お兄ちゃんが他人のフェロモンに当てられてボーっとした顔が嫌で、急いで服を脱いで僕のオッパイを口に含ませて、僕のフェロモンを感じてもらえるように。
拾人お兄ちゃんを正気に戻さなきゃと溢れる涙を無視して、キスしたり僕以外に勃起してしまった拾人お兄ちゃんのおっきなオチンチンを刺激する。
こんな時αに着ける首輪みたいなのがあればいいのにと、僕は悔しくて涙が後から後から溢れ続ける。
αにとってΩのヒート時のフェロモンは本当に強烈らしく、僕の家を出た時には濃いΩフェロモンのヒートに、酔った拾人お兄ちゃんのオチンチンは勃っていて濃いαフェロモンを放ち始めていて、僕は本当にショックを受けている。
今まで拾人お兄ちゃんが発情するのは僕にだけだったからだ。
本当に本当になんで僕のヒートはまだなんだろう。
僕は泣きながら、拾人お兄ちゃんのオチンチンを舐めしゃぶったり、お尻で擦ったり、目の前でオッパイを弄って見せたりする。
拾人お兄ちゃんは熱に浮かされたまま、目の前のメスの身体に喰らいつくような荒々しさで、僕の身体を弄り始めた。
この身体は拾人お兄ちゃんに可愛がられる為にあるのであって、他人の代わりじゃないのにと余計に悲しくなってしまったけど、拾人お兄ちゃんを正気に戻す事を僕は最優先にした。
拾人お兄ちゃんの暴走は中々治らず、僕のお尻には大人の長い指が四本も埋まっている。
他のΩフェロモンに酔った状態で、拾人お兄ちゃんと僕の初めてが成されてしまうのかと思うと、悔しさと悲しみで堪らなくなる。
拾人お兄ちゃんは睨みつけるようにギラギラとした眼差しと荒い呼吸でフーフーッと言いながら僕の唇に噛みつき、離れたかと思うと僕の身体を反転してお尻の穴におっきなオチンチンをあてがって押し込み始める。
が、拾人お兄ちゃんの動きがピタリと止まった。
僕は涙でぐちゃぐちゃになった顔で後ろを向くと、息は相変わらず荒くギラギラとした視線だが、他のΩではなく僕を僕だけを見つめる拾人お兄ちゃんと目が合う。
拾人お兄ちゃんは相当な我慢でギリギリと音がしそうな程歯をくいしばって、僕のお尻の穴から入り掛けていたオチンチンを抜き僕を抱き締める。
僕は安心して珍しく大声で泣いてしまった。
本当にギリッギリで正気に戻ってくれて良かった。
その日は食事も忘れて夜まで、裸でただただ身体を抱きしめ合って互いの存在を確認し合った。
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