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第2話

「すいません……ここんとこ徹夜続きで眠くて……」 「そんなん俺もだ。くだらねーこと言い訳にしてんじゃねーよ」 黙っていれば普通のイケメンなのに、幸太郎のこういう口の利き方は本当に残念だなとナオは思う。 ただ、自分だけが連日徹夜で論文制作をしている訳ではないというのも事実なので、幸太郎の言い分には「すみません」と謝っておくことにした。 「んで、どこ行ってたんだよ?」 「え……えっと、大学の周りをブラブラしてました」 「それ、ウソだろ?」 「えっ!?」 幸太郎は上半身を捩って童顔のナオを一瞥すると、ニヤリと笑った。 「なんだよ、やっぱりウソだったのか?お前、顔に出過ぎ」 「た、試したんですか!?」 「で、ホントはどこ行ってた?」 そんなの、答えられるはずがない。 「先輩と同じ場所へ出て行って、先輩とその彼女のキスシーンを見ていました」なんて言ったら、自分で墓穴を掘ってしまうことになる。 そう、ナオは密かに幸太郎に恋をしている。 彼に彼女がいても、幸太郎が男であっても、好きなものは好きなのだ。 だから、正直さっきのキスシーンは堪えた。 目が離せないほどに美しいと思いつつ、目を逸らしたいと思いつつ、結局はじっと見つめてしまった。 こんなに胸が痛くなるなら、見るんじゃなかったと思うが、後悔先に立たずとはまさにこのことだ。 だからこそ、ナオは真剣に儚い望みについて考えている。 坂上幸太郎にとって一番の存在にはなれずとも、二番目になることはできるのかと。 「何だよ、どこ行ってたか言わねーの?先輩命令なのに?」 ナオは少しばかり顔を俯けた。 どうしよう、幸太郎は本当にナオがどこに行っていたのかを知りたがっている。 だが本当のことなど言えるはずもない。 「か、かの……じょ……」 「あ?」 「彼女と、会ってました!」 しばし奇妙な沈黙が続く。 そんな中、ナオは「一体自分は何を口にしたのだろう」と考える。 彼女なんていないくせに。 欲しいとも思っていないくせに。 「お前、彼女とかいんだ?」 「い、いちゃいけないですか!?」 「怒鳴るなよ、うるせーな。いけなくはねーよ、意外だと思っただけだ。どんなヤツだ?」 ああ、嘘なんて吐くんじゃなかった。 一つ嘘を吐けば、その嘘を貫くために二つ、三つと、ありもしない事象を並べ立てる羽目になる。 ここはさっさと降参しておこうと、ナオは腹を括った。 「ウソですよ。彼女なんていません」 「なんだよ……俺を騙そうとしてたってことか?じゃ、どこ行ってたんだ?」 「ちょっと息抜きに構内を散歩してただけですってば。なんで信じてくれないんですか?」 「マジで彼女いないのか……」

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