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第10話
幸太郎はタオルを布団の中で外すと、一物を自分の手で慰め始める。
ナオに口付けを落としながら、最初はゆっくりと竿を扱く。
すぐに先走りが出てきたので、それを亀頭に塗って割れ目を指の腹でなぞってみる。
「んッ……」
もっとキスを深くしても大丈夫だろうか。
幸太郎は欲望を抑えることができず、ナオの口内に自分の舌を挿し入れて口の中を舐め回す。
そうしていると、精液が内側からせり上がってくるのが分かった。
もうすぐ達してしまうというところで唇を放し、ベッドサイドに置いてあったティッシュケースからティッシュを何枚か引き抜き、達したと同時に精液を拭き取る。
「はぁっ、はっ……久住で抜くとか……マジかよ……?」
男をオカズにしたことがないだけに、酷く戸惑うが、今度は眠気が襲ってきた。
満たされたことで安心したのかもしれない。
「久住ナオ……か。男にモテる理由が分かった気がする……」
まあ幸太郎がこうしてオカズにできたくらいなのだから、他にもナオをオカズにしている輩はいるだろう。
だが、と幸太郎は考える。
ただオカズにしているだけならまだしも、手を出されたりしたら、ナオの非力さでは抗えないのではないだろうか。
「ったく……ほっとけねーヤツ……」
幸太郎はナオのクセ毛をそっと指で梳くと、徐々に瞼を下ろしていった。
幸太郎がすっかり寝入ると、ナオは薄目を開けて憧れの先輩の美麗な顔を視界に入れ、次に自分の唇に触れてみた。
まさか幸太郎にキスされるなんて思ってもみなかったし、更に言えば自分をオカズに抜いてもらえるとも思っていなかった。
「どうしよう、嬉しい……俺、二番目になれるかな……」
一番目はあの彼女で構わない。
どの道男であるナオは幸太郎と結婚なんてできないのだから、最初からそんなことは諦めている。
でも、二番目にしてくれると言われたら、絶対に嬉しいと思うに決まっている。
気紛れに呼び出してくれて構わない。
気紛れにオカズにしてくれても構わない。
ナオにとっての幸太郎はいつだって一番目だが、幸太郎にとってのナオは二番目でいいので、その可能性が皆無ではないことを、今日知ってしまった。
知ったからには知らないフリはできそうになく、明日からのナオは幸太郎とどう接するのかが自分でも分からない。
「でも、分からなくていい……同性への恋なんて、どこへどう転ぶか分かんないどころか、報われないんだから……」
できることなら女に生まれたかったと願うナオだが、この世に男として存在している以上、それは叶わぬ夢だった。
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