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第20話
特に幸太郎に名前を呼んでもらえるのが嬉しい。
もしかしたら、幸太郎とは彼が大学を卒業してからも会えるだろうか。
ちゃんとナオを二番目に大切な存在としてもらえるだろうか。
「う、く……あ、あぁぁんッ……」
幸太郎が腰を前後に振り始める。
パンパンという肉がぶつかり合う音が室内に響き渡り、ナオの裏返った喘ぎ声も聞こえるようになる。
「せ、先輩……気持ちイイ……ですか?」
正直ナオは気持ちイイというより、やはり窮屈な思いを強いられているのだが、幸太郎はどう感じているのだろう。
男同士のセックスに、感じることはないのだろうか。
「スゲー気持ちイイ……ちょっと慣れてきたから、お前にも感じさせてやるよ」
「いぁぁぁ!?」
前立腺を狙われ、突かれて、ナオはなりふり構わず喘ぎを発する。
「それから、こっちだ」
幸太郎はナオの細い腰を両手で掴むと、自分の方へ引き寄せて結合を深くせしめ、深い部分で抜き挿しを繰り返す。
「あ、あぁぁぁん、う、あ……あンっ……」
最奥が男の性感帯だというのは本当だろうかと半信半疑だった幸太郎だが、ナオの反応を見る限り事実のようだ。
「ナオ……俺も……イきそう……っ……」
幸太郎の額に滲んだ汗が頬を伝い、ナオの白い肢体の上に落ちていく。
「ふ、あ……あ……」
「ナオ?」
不意にナオの身体が大きな痙攣に見舞われ、後孔の中がギュッと締まる。
一体何が起こっているのかと問おうとしたその瞬間、幸太郎は射精させられてしまい、慌てて陰茎を引き抜いた。
「ナオ?どうした、ナオ!」
「わ、かんな……気持ちよすぎて……あ、あ……」
ナオが痙攣に震える中で手を差し出すと、それを幸太郎がすかさず握る。
「んぅッ、出る──!?」
一段と痙攣を激しくすると、ナオの腹の上に2度目の精が飛び散った。
なるほど、ナカの感じる部分を執拗に突き上げたから、後ろで達したのか。
幸太郎はベッドサイドのティッシュを何枚か取り出すと、ナオの腹の上を、ペニスを拭き取ってやり、最後に後孔から幸太郎が放った精を掻き出した。
本当は出す前に抜くつもりだったのに、ナオのナカの収縮が激し過ぎてイかされてしまった。
「大丈夫か、ナオ?」
顔を覗き込むと、ナオは気怠そうな表情を見せたが、やがて口角を上げた。
「はい……」
ああ、これで思い出ができた。
ナオの中にあるのは、それだけだった。
幸太郎がどうしてナオを抱きたいと思ったのか、ナオには訊く気がなかった。
傷付きたくない。
「ただの気紛れだ」なんて言葉は聞きたくないし、「男同士のセックスへの好奇心だった」なんて言葉も願い下げだ。
今日は幸太郎が抱きたいと思ったから、抱いた。
今日はナオが抱かれてもいいと思ったから、抱かれた。
それでいいじゃないか──。
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