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第23話
「あーあ、坂上先輩、行っちゃったねぇ、久住クン?」
「っ!?」
背後に気配を感じてナオが振り向くと、いかにも悪人面をした3人の男が立っていた。
「あの……何か……?」
本能が逃げろと言っているのに、足が動かない。
「キミさぁ、坂上の金魚の糞か何かなワケ?」
「は……?」
「いっつも一緒にいてさぁ……ね、ホモなの?」
一体何なんだ、コイツらは──?
幸太郎の知り合いとは思えないが、幸太郎をあまりよく思っていないということは何となく伝わってきた。
「ホモならさぁ、オレ達のことも満足させてくれるかなぁ?」
「──っ!?」
迫って来る3人組を嫌って、ナオがその分後ずされば、背中にフェンスが当たって逃げ場を失う。
左右どちらかから逃げられないかと必死に思考を巡らせるが、男3人はナオの前、右、左に立って逃げ場を奪ってしまった。
「あ、あの……」
口を開けばパシン──、と横っ面を引っ叩かれる。
「んぐっ!?」
かと思えば正面にいた男が膝頭でナオのみぞおちを思い切り蹴る。
「ゲホッ……ッ……」
だめだ──。
逃げられないし、助けも呼べない──。
男達は思いの外ナオの近くに立っており、手足を動かそうものならすぐさま掴んで動きを阻む。
そのうち肩を押されて地面に尻もちをつくと、男達も地面に膝をついて笑いながらナオの衣服を剥ぎ取っていく。
「ん、やだッ……!やめて!誰か……!」
「うるせぇんだよ!!!」
ガツン──、と右顎にアッパーが入ると、口の中が切れて血の味がした。
「誰に助けて欲しいんだ?坂上か?あんなの、ただのクソヤローじゃねーか!」
「な、んで……クソヤローなんだよ……?」
「俺のマドンナをフって、泣かせやがった!だから、今度は俺が坂上の大事なヤツをキズモノにしてやるんだ!」
どうしてだろう。
衣服は剥がれ、破かれ、散々な目に遭っているのに、「坂上の大事なヤツ」と聞いた瞬間、笑ってしまった。
「何がおかしい!?!?」
「別に……何も……」
ああ、折角作った貴重な思い出が、こんな男達によって最悪なものへと上書きされてしまうのか。
ジーパンのホックが外されて、膝の辺りまで下ろされる。
上半身はもう裸も同然だ。
破こうにも破けなかった部分だけが肌を隠しているだけで、半裸に近い状態だ。
下半身も、もうすぐ顕わになってコイツらの手で穢されるのだろう。
「ッ……」
不意に涙が出た。
どうしてこんなことをされなければならないのだろう。
幸太郎はこの男達にこんなことをさせるほど、罪なことをしたのだろうか。
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