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第28話
エレベーターで3階へ行き、自分の家を目指す。
ナオも必死に歩こうとしているようだが、時折不意にカクンと膝が折れるので、肩を貸さずにはいられない。
部屋の前に到着すると、幸太郎はポケットからキーホルダーを取り出し、施錠を外す。
まずはナオを玄関先に座らせ、自分が後から家に入ってチェーンロックをかける。
幸太郎はネクタイを緩めながらナオのための着替えを用意してやり、とりあえずシャワーを使ってもらうことにした。
「ナオ、立てるか?シャワー浴びよう」
「はい……あ、でも一人で大丈夫です」
「んなワケあるか。膝がカクカクしてんじゃねーかよ」
「はあ……なんだか力が入らなくて……」
それは当然だろう。
危うく輪姦されそうになったのだから、怖くない方がおかしい。
「何もしないから、とりあえず俺も一緒に入る。それでいいか?」
「俺に……拒否権なんてないですよね……?」
「ま、そりゃそうだ。ここは俺の家だしな」
「いい部屋ですね……俺もこういう部屋が良かったんだけど……」
幸太郎の家は、玄関から見る限りでは、1DKという間取りではないだろうか。
ナオもダイニング付きの物件を探していたのだが、財布との折り合いがつかないので今の家に住んでいる。
「ホラ、行くぞ」
いつしか靴を幸太郎に脱がされていて、ナオは彼に肩を貸してもらって家の中へと上がり込む。
やっぱり間取りは1DKだった。
ナオは脱衣所で幸太郎に貸してもらっていた上着を脱ぎ、「汚しちゃいましたね」と詫びた。
「後でクリーニング代、払います」
「なんでそうなる?別にこんくらいどうってことねーよ」
「でも、先輩の折角のスーツですから」
「いいから黙れ。あ、下半身は……無事……なんだよな?」
パンツの上から触られただけだと言うと、幸太郎は安心したのかしないのか、複雑な表情を浮かべた。
もし今日の出来事がトラウマになって、ナオの性器が勃たなくなってしまったら、どうしよう。
否、そもそももうセックスすらしたくないと思っているかもしれない。
「辛うじて無事です。先輩、何か色々考えてます?」
「そりゃ、まあ……お前に何かあったら、俺は相手をぶっ殺す勢いだからな」
「そんな物騒なこと、だめです」
2人は浴室に入り、シャワーの湯加減を調節し、頭からシャワーを浴びる。
顔のあちこちに泥がこびりついて、どこを怪我しているのかがよく分からなかったナオの顔だが、右頬と顎を殴られているらしく、その2ヵ所の変色が目立った。
「顔、痕が残んないといいけどな……」
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