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第30話

なるほど、そういう理屈かと、幸太郎はようやく理解した。 だが生憎、存在していない嫁を一番になどという仮定の話で、ナオを取り逃がしたくはない。 「じゃあ、お前はどうなんだよ、ナオ?俺がお前の一番になりたいっつったら、なれんのか?」 「先輩は……もうずっと前から俺の中での一番です」 「──っ!?」 「でも、男同士だし……それにいつだったか先輩が論文放り出して街に出た時、俺先輩と日菜子さんとのキスシーン見てたんです。綺麗だなぁって……」 ああ、日菜子が一方的にキレて、幸太郎に「別れるわ!」と言った日のことかと思い出した。 あの日、確かナオもどこかをほっつき歩いていたはずだが、なんだかんだではぐらかされた記憶がある。 まああのキスシーンを見ていたと言うなら、どこへ行っていたかなど言えるはずがなかったという訳だ。 「お前にとって俺が一番なら、俺にとってもお前が一番だ」 「だから……違うって……先輩、もっと自分の人生を大事にしてくださいよ」 「どういう意味だよ?」 「俺なんて、先輩につり合わない……童顔だし、背もそれほど高くないし、だから……俺なんかのために、大事な一番目の枠を使わないでください」 ナオは涙腺が緩んだのか、生まれたままの姿で幸太郎と向き合いながら、手の甲で目の辺りを拭った。 そんなナオを、幸太郎はしっかりと抱き締める。 「先輩……?」 「俺の一番は俺が決める」 「──っ!?」 「お前は俺の二番目にはなれない……だけど、一番目にならなれる……それじゃだめなのか……?」 抱き締める腕に力を込めれば、ナオもおずおずと幸太郎の背中に腕を回してきた。 この人はずるい。 「一番になれ」って言われたら、ナオが喜ぶことを計算しているに違いない。 「どうなんだよ、ナオ……?」 「バカな人ですね、先輩は……二番目でいいって、ずっと思ってたのに……」 「気持ちを聞かせろ」 「断れるはずないじゃないですか……俺の方が先に先輩を好きになってたんだから……なのに、ずるい……後から俺を好きになっておいて……一番になれとか……」 幸太郎はシャワーを浴び終えると、ナオの身体をバスタオルで拭ってやり、自分の身体も同じように拭う。 そして服を着ていないナオを、同じく裸の幸太郎が抱き上げてベッドの上に横たえた。 「セックス……怖いとか思ってねーか?」 「怖くない……って言ったらウソになりますけど……ちゃんと勃つかどうかは、試してみないと分からないというか……」 少なくとも男達に下着の上から触れられた時は、全く勃つ気配がなかった。 そう白状すると、幸太郎はあからさまな溜息を吐いた。

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