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第33話

「あ、ん……ッ……あぁッ……」 カリの部分が挿り込み、ナオの狭い器官を押し広げながら進んでいく。 「ッ!あ!」 前立腺が擦られる。 さっきまで指で弄られてすっかり屹立したそれは、擦られた刺激を正確にナオ自身に伝えてきた。 「お前が感じるとこは、ココと奥……ちゃんと覚えてっからな」 嬉しいことを言ってくれる。 ありがとうと返すべきか無言を貫くか。 ナオは後者を選んだ。 とてもではないが今はまともな言葉を紡げそうになく、紡いだところで情事が終わったら忘れてしまいそうだ。 奥までもう少し──。 ナオは更に脱力し、幸太郎が挿りやすいように、なけなしの理性で気を遣う。 「挿った……」 結ばれた瞬間、幸太郎がナオをきつくきつく抱き締めてきた。 幸太郎も公園でナオを見付けてから、ずっと不安に想っていた。 植え付けられた恐怖で、もう身体を許してくれないかもしれないと。 あの事件が原因で、ナオ自身が不能に陥ったりはしていないかと。 だがどれも杞憂に終わり、自分達は今繋がっている。 「根元まで挿った……バカヤロウ、心配させやがって……」 幸太郎が上体を両腕で支えながら、ナオを見下ろして涙を零す。 「え……先輩……?」 「お前がセックスできない身体になってたら、お前を襲おうとしたヤツも不能にしてやろうって考えてた」 「っ!?」 「お前と同じ苦しみを教えてやんねーと、俺の気が済まなかった」 そんな風に考えていてくれたのかと、ナオは幸太郎の頬にそっと触れてみた。 「泣かないで、先輩……早く動いて……あっ!?」 ズン──、と振動が起こったと思えば、ナオの視界が揺らめき始める。 宙送が始まってしまったからには、もう余計なことを考える余裕などなかった。 全身の細胞が幸太郎を欲しがっている。 アナルの内側では、幸太郎自身に肉壁が吸い付いて、突き上げられる度にペニスを締め付ける。 「ナオ……」 「は、い……ッ……?」 「愛してる……俺から逃げられるなんて思うなよ」 その台詞は、ナオの心を大きく揺さぶった。 二番目でよかったのに、どうしてこの人はナオを一番にしてくれるのだろう。 否、今でも二番目でいいと思っている。 だって幸太郎はまだ社会に出ておらず、新しい出会いを体験していない。 だから、もし幸太郎が色々な出会いを果たても尚ナオを一番にしてくれると言ったなら、その時はナオも素直に「一番にしてください」と言おうと思う。 今はただ幸太郎の熱を受け入れて、揺さぶられていればそれでいいと考えていた。

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