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~よるのばけもの~
僕はパパという呼び名の夜の化け物が言うとおり、ヒラヒラのレースとリボンがたくさんついてて、クラスメイトの女の子が着ているような可愛いお洋服を着る。
「ああ――天使のように可愛いワタシのアレン……とてもよく似合っているよ。流石はパパとママとの間に生まれた自慢の子だ」
「ありがとう、パパ……」
僕は心にもない言葉を夜の化け物へと伝える。
パパという呼び名の夜の化け物は、相変わらず気持ちの悪い貼り付けたような笑みを浮かべながら――満足そうに僕の頬を、その大きな手で撫でると――僕がいつも寝ているベッドへと向かうんだ。
そして、ベッドの持ち主である僕の許可も得ずに好き勝手に横たわると――、
「そろそろ儀式を始めよう。さあ、パパの隣に来るんだ――ワタシの可愛いアレン」
「……っ…………!!」
一瞬、戸惑う僕だったけれど――パパという呼び名の夜の化け物に逆らうと何をされるか分からない。
この間は、腕やお腹に煙草の火を押し付けられた――。
【とても熱くて泣きそうになった】
そして、その前はママが無くしたと騒いでいた口紅で《淫乱な天使》と書かれた。
【淫乱って――どんな意味かは分からないけど恥ずかしくて泣きそうになった】
だから――、
僕はパパという呼び名の夜の化け物の隣に行くしか出来なかったんだ。
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