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~ばけものがいないよる~
――ビリッ……
――ビリ、ビリ……
僕はいざという時の為にズボンのポケットに忍ばせておいた折り畳みナイフを取り出すと、そのままクローゼットに掛けられている沢山の女の子用のお洋服の中から――高級そうな黒いシルクのドレスをナイフでビリビリに引き裂いていく。
『アレン――君には白いドレスも似合うが、此方の黒いドレスもよく似合うよ……パパはこっちの方が好きだな』
かつて、生きていた頃の【夜のばけもの】の言葉を思い出しながら――ドレスをナイフでズタズタに引き裂いている内に清々しい気分になった僕は自然と口角をあげてしまう。
――明日はかわいそうなパパのお葬式。
――僕もみんなと同じようにとっておきのお花を用意してパパとお別れをしなくちゃ。
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