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~おそうしき~
※ ※ ※
――ザァァ~……
――ザァァー……
「うっ……ううっ……っく……」
「……あなた、あなた~……っ……!!」
お葬式の日は――あいにく、バケツをひっくり返したかのような雨。
周りの人達のすすり泣く音と、雨の音――それにママが狂ったかのように泣き叫ぶ声が重なる。
「それでは――最後のお別れです。皆さんで土をかけてあげて故人を偲んでください」
名前も分からない進行役の男の人が淡々とした口調で言いながら僕とママを含むパパの親族達にスコップを渡してきた。ママと僕を含めた親族達は――渡されたスコップで土を掘りつつ、淡々と十字架が掘られたパパの棺の上へと土をかけていく。ママのように切なげに嗚咽を漏らしながら土をかける人もいれば、僕のように無表情かつ無言で土をかける人もいた。
周りにはエディやジャックもいたけれど、土を棺の上にかけられるのはパパの近しい親族だけしか出来ないから――二人は僕が黙々と土をかける姿をジッと見つめているだけだった。
そして、
パパのお葬式は――ようやく終わった。
お葬式の最後にママが綺麗な花束をパパのお墓に置いて――お祈りしていた。
※ ※ ※
――誰もいなくなった静かな墓場。
もう夕方になっていて、あんなにバケツをひっくり返したかのように降っていた雨は――パパのお葬式をした昼間よりも小雨になっている。
(僕も――優しいママみたいにパパのお墓にお花を供えてあげなくちゃ……)
(パパが――安らかに天国に行って幸せになるように……)
僕は――ゆっくりとパパのお墓の前へと歩いて行く。
そして、コッソリと庭で育てていた一輪のスノードロップのお花をパパの名前が掘られているお墓の上にソッと置いたのだった。
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