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~かけがえのない日々~
僕と郵便屋のお兄さんは、エディが慌てて走り去ってしまった後にすぐ側にあるベンチに座る。
――ピチュ……
――ピチュッ……ピチチッ……
この公園は他の公園に比べて、緑が多い事が自慢だから鳥の囀りが心地よく僕の耳を刺激する。
そんな美しい鳥の囀りに耳を澄ませる事に集中しきっていた時――、
「アレン……エディの事は――好きじゃないのかい?」
「……えっ…………!?」
僕が鳥の囀りを聞きながら、その余韻に浸りつつ周りの様子をボーッと見つめていると――ふいに郵便屋のお兄さんが少しだけ遠慮がちに聞いてきた。
まさか、そんな事を聞かれるなんて僕は思ってもいなかったから目を丸くして驚きの表情を浮かべながらチラッと横にいるお兄さんへと目線を向けてしまう。
「どうして……郵便屋のお兄さんが――そんな事を聞くの?まさか、エディが――何か……」
「――アレンはボクといても全然楽しそうにしてくれない……ってエディが気にしてたから聞いてみただけだよ」
「そ、そうなんだ……でも、郵便屋のお兄さんは――気にし過ぎだよ。だって、エディは僕のお友達なんだから」
僕がそう答えると郵便屋のお兄さんは普段通りにニコニコと優しく微笑みかけてくれて、その大きな手で僕の頭をくしゃっと撫でてくれた。
「……そうか、それなら良いんだ。オレが気にし過ぎただけだったね」
「うん!!」
優しい郵便屋のお兄さんは――僕の言葉に納得してくれた。郵便屋のお兄さんの手は生きていた頃のパパの手よりも大きくて、とても安心してしまった。
郵便屋のお兄さんが散歩をしないかと提案してくれなかったら、きっと――このままパパよりも大きな手で包まれながら僕は安心からくる眠気のせいで眠りの世界に行ってしまっていたに違いないと心の中で思った。
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