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~かけがえのない日々~

「郵便屋のお兄さんも――今日はお休みなの?その犬、とっても可愛いね」 「ああ、そうなんだよ……アレン。たまには、ラビットを連れて散歩でもしようと思ってね」 これ以上、郵便屋のお兄さんの口からエディの話しが出てこないように、郵便屋のお兄さんが連れている白い犬を見つめながら満面の笑みを浮かべて彼に話しかけてみる。 「その犬は――ラビットっていうの?犬なのにウサギなんて……何だか面白いね。どうして、ラビットっていう名前なの?」 「それは、見た目がウサギ見たいっていうのもあるんだけれど……オレにとって大切な子がラビットっていう名前がいいって言ったから――つけたんだよ」 「……そ、それって……エ……」 「安心しておくれよ……アレン。エディの事じゃ……ないからね――」 僕が『エディの事なの?』って聞こうとしたのに――途中で郵便屋のお兄さんが悪戯っぽく耳元で囁きかけてきた。 何だか、途端に僕のモヤモヤした気持ちを見透かされたような気がして――慌てて、僕の顔を覗き込んでくる郵便屋のお兄さんから顔を背ける僕なのだった。 ※ ※ ※ ――僕と郵便屋のお兄さんは、それから他愛もない話をした。学校でのこと、お天気の話――僕の大好きなサーカスがもうすぐこの町に来ること、僕の誕生日会の話――。 それから――どのくらいたったのだろうか。 もう、日が暮れかけている――。 「――それじゃあ、オレはそろそろ行こうかな……これから、大事な用があるんだ。アレン――エディとこれからは仲良くするんだよ?それと、これから暗くなるから――気をつけてお帰り……」 「……うん。郵便屋のお兄さんも……気をつけてね」 そう言って、ベンチから立ち上がると郵便屋のお兄さんは――いつものように大きな手のひらで僕の頭を包み込むと優しい手付きで撫でてくれた。それから、ラビットという白い犬と共に――その場から去って行ってしまうのだった。 僕は郵便屋のお兄さんと、ラビットという白い犬の姿が見えなくなるまで見送るとベンチから立ち上がって――ママが待っている《家》へと帰るのだった。

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