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~かけがえのない日々~

※ ※ ※ 「ただいま、ママ…………」 「あら、おかえりなさい――今日は少し遅かったのね……アレン」 僕が家に帰ると――ママが夕ごはんの準備をしながら僕を出迎えてくれた。今日のメニューは僕の大好きなミートスパゲッティと新鮮な野菜のサラダ――それに、おやつで食べられなかった動物が型のカラフルなアイシングクッキーが何枚かお皿に乗っている。 僕の前では頑張って普通のママを演じて無理やり笑っているママだけど心の底ではパパが死んじゃったことを受け入れきれていないんじゃないかな――。 だって――ママは泣き腫らして真っ赤になった瞳で無理やり笑顔を浮かべながら僕をジッと見つめてる。 ううん、ただ見つめてるだけじゃなくて……まるで、悪戯した僕を怒る時みたいな怖い目で見つめてる――。だから、僕は――ぱっ……とママの顔から目を逸らしちゃったんだ。 「…………そういえば、あなたの誕生会――のことなんだけれどね……」 「……誕生会??」 「嫌ね、アレンったら……自分の誕生日のことを忘れちゃったのかしら……なんて、バカな子なのかしら。そうそう、それでね……あなたを可愛いがってたあの人がいなくなったし、誕生会を中止にしようかとも思ったんだけどー―アレンのためにしてあげたいって意見もあって予定通りすることにしたわ」 そうだ――すっかり忘れてしまっていた。 ――もうすぐ、僕の誕生日だった。 「お隣のエディがあなたなんかのことを――わざわざ心配してくれたのよ。あの人が亡くなって……あなたが悲しんでないか心配なんですって。あなたには本当に良いお友達がいるわね……あなたみたいな子と遊んでくれるエディとエディに感謝しなきゃ……ダメよ?それと郵便屋のお兄さんにも……感謝なさいよ、アレン?」 「う、うん……ママ――大丈夫、分かっているから……大丈夫だよ……ママ――エディもジャックも……郵便屋のお兄さんさんも……みんな、かけがえのない人だよ」 ――そうだ。 ――エディも、 ――ジャックも、 ――郵便屋のお兄さんも、 ――ママも、 ――みんなと過ごす日々も、 ――かけがえのない大切なものだったのに。 どうして、 こんなことになっちゃったんだろう? 【第一章 完】

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