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~再会~
「そ、それは……アレンの誕生会で――君に花束を渡したことまでは覚えているんだ。で、でも……その後の事がよく覚えてなくて……」
「……それ――僕と同じだ。僕もエディからバラの花束を貰ったことまでは覚えているのに……っ……」
いつもに増して弱々しく、不安げな表情を浮かべながら――僕へと答えるエディ。
フッ……とママの優しい笑顔が思い浮かぶ僕。
「……そ、そういえば――僕のママは……どこに行ったのかな?エディ……きみ、何か知ってる?」
「……ご、ごめん……ごめんよ……ボクは目を覚ましてから……ア、アレン……き、きみ以外とは誰とも会っていないんだ、で、でも……も、もしかすると……きみほママも、この建物の中に……い、いる――かもしれない……」
「そんな――ママ…………」
僕は――思わず顔を俯かせると、ポロポロと涙を溢しながら呟く。いつもは冷静な僕が涙を流したのは――エディが哀しげな表情を浮かべて、それに釣られちゃったからだ。
僕が涙もろくてエディみたいに弱いせいなんかじゃないんだから――。
「ア、アレン……そ、その……きみさえ良ければ――だけどさ……ボ、ボクと一緒にこの建物の中を探検してみない?もしかした……きみのママも見つかるかも……」
「……えっ…………!?」
いつも弱々しくて――僕の後ろをくっつき回るエディらしくない提案を聞くと、僕は目を丸くしつつ――エディをジッと見つめてしまう。
「で、でも…………ジャックは――どうするの!?まさか、このまま……ここに置いてけぼりにする気?そんなの……ジャックが――かわいそう、かわいそうだよっ……」
「アレン……これは、とても……言いにくいけど――ジャックは、もう……生きてはいないみたいなんだ……まるで――きみのパパ……みたいにさ……」
そう言いながらも――エディは着ているズボンのポケットから……昔、僕がエディにプレゼントしてあげてからいつも持っている小さなポーチを取り出すと中からピンのような物を取り出してから――僕と血まみれのジャックを繋いでいて少しでも動こうとする度にジャラジャラとうるさい長ったらしく伸びている鎖を手際よく外したのだった。
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