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~探索~

「アレンの涙――しょっぱいね……でも、おいしいよ……」 「エ、エディ……やっ……止めてよっ……!!」 エディは僕が困惑することなんてお構い無しに――尚も生温かいベロで頬を伝う涙を舐めてくる。慌てて、エディから離れようとしてみても普段の気弱なエディからは想像もつかないような強い力で僕を抱き締めているままだから――どうにもこうにも上手く引き離せない。 ――ドンッ……!! そのエディの力強さから――思わずジャックの姿が重なり合ってしまって、僕は力任せに何とかエディの両手から逃れると――そのまま彼を突飛ばしてしまった。 「ア、アレン……ど、どうして……き、君は……ボクを……」 僕が咄嗟にエディを突飛ばしてしまうと、彼は――いつものように気弱そうな表情を浮かべて尻もちをつきつつ、バツが悪そうに覗き込む僕へと小さな声で尋ねてくる。 エディの声は蚊のなくようにか細くて――とても聞き取りにくいのだけれど僕に何かを聞こうとしている事だけは何となく分かった。 「ご、ごめん……エディ。でも、僕に何を聞こうとしたの?」 「へ、平気だよ……アレン。さあ、早くボクと一緒に――君のママを探しに行こう?」 「分かったよ……エディ……」 僕は『何を聞こうとしたの?』と問いかけてみても答えてくれないエディに対して少し疑問を感じた。だけど、つい先程まで悲しそうな表情を浮かべていたと思っていたのに――すぐに、いつもの気弱なエディへと戻ったから少し安心した。 だから――先程の疑問はなかったことにして、僕はエディの提案にのり、彼と共にこの廃墟らしき建物の中を探索することにしたんだ。

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