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~暗闇~
◆ ◆ ◆ ◆
――ヒュー……
――ザァァー……ザァ―
――ビュ―…… ガタッ……ガタ……
ひび割れた灰色のコンクリートに囲まれている廃墟の中は、思ったよりも広いみたいで――僕はそれだけでもビックリしてしまう。
――それに、
さっきから降り始めたバケツをひっくり返したみたいな雨の音と――不気味な風の音。
エディが手に持っているライトで前を照らしてくれているとはいえ、ずっと――ずっと続いて終わりが無さそうな暗闇に僕はビクビクしながらもゆっくりと歩み続けていく。
「ア、アレン……だ、大丈夫?ちゃんと――ボクの手を繋いで着いてきてね……」
「あ、ありがとう……エディ……」
いつもの気弱でオドオドしていたエディとは思えないほどに頼もしい。僕の手をギュウッと握って優しく声をかけてくれる。
ジャックが、ああなるまでは、そういう事は頼りがいのあるジャックの役割だったから――なんだかモヤモヤしたんだけれど、今は隣にいる彼だけが頼りなので僕はエディの手をギュッと握り返しながら――ひたすら、前へ前へと歩みを進めていくのだった。
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