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~暗闇~
――フッ…………
ふと、ライトの光が――消える。
やっぱり懐中電灯の光だけでは――この広い廃墟らしき場所を進んで行くには限界がある。
「エディ……そこに――いるよね!?」
「ア、アレン……大丈夫――ボクの手を絶対に離さないで……っ……」
前に続いている道は――、
――闇……
――闇…………
――真っ暗闇だ……。
まるで、僕の体が丸ごと闇に飲み込まれそうな感覚になって、僕はエディの手を決して離すまいとギュウッと握り締める。
しかし、
それは……突然起こるーー。
急に先程まで僕の手を強く握り返してくれていたエディの汗ばんだ生暖かい手の感覚がなくなってしまった――ような……気がしたのだ。
「エ、エディ……エディ――僕の前にいるよね?」
「…………」
――無音。
つい先程までーーかつてのジャックのように頼りがいのある温かい言葉で僕を励まし続けてくれていたエディの声が聞こえない。
「エ、エディ……エディ……ッ……!!」
僕は再び――ひとりぼっちになってしまった不安に耐えられなくなり、何度も何度もエディの名前を先に続いている暗闇に向かって繰り返し叫ぶ。
そんな事を叫ぶうちに声が枯れ始めてしまい、堪らずにスウッと息を吸い込んだ時――、
「ざ~んねん……きみノ、おトもだチは――イなイヨ!!ナきムしノ……てンシ……てンシ……ひゃははっ……♪」
「だっ……だれっ…………!!?」
まるで、わざと機械で声の音を変えて喋っているかのような甲高くて人工的な耳障りとしか言い様がない声が聞こえてくる。
その奇怪で愉快げな甲高い声は――目の前に続いている真っ暗闇から聞こえているような気がして僕は不安と恐怖からブルッと身を震わせつつ情けないとは思いながらも――呆然とその場に立ち尽くす事しか出来ないのだった。
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