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~暗闇~

「……あ、あれは――赤いボール?」 「そウそウ。でもネ……単なる赤いボールじゃナイよ。あれは、きみニトっての、道しるべ。きみヲ、トっておきノ場所ニ導いテくれルノさ!だカラ、ちゃんとボールノ後ヲ付いてこないとダメだカラネ?」 ――ポンッ…… ――ポンッ…… ――ポンッ…… 通路の真ん中で立ち止まり、困ったような表情を浮かべて謎の声を聞いている間でも、僕の少し前で軽快に赤いボールは弾んだままだ。 試しに、僕は一歩だけ歩みを進めてみる。 ――すると、 赤いボールは、僕が歩みを進めたのと同時に、今まで弾んでいた場所から、少し前へと移動して、相変わらず軽快なリズムで弾み続ける。 (……謎の声が言うとおり、僕に前に進めってことなのかな……) 「だカラ、ボクがそう言ってるじゃナイか~……アレン、きみハ案外と疑りブカいネ!いい子ダから、赤いボールについていッてゴラン?」 「…………分かったよ。」 ポンッ…… ポン……ポンッ…… 相変わらず、僕の神経を逆撫でしてくる謎の声と、軽快なリズムで弾んでいる赤いボールの規則的な音を聞きながら、通路で立ち止まったままでは埒が開かないと思い、そのまま赤いボールに導かれていくのだった。

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