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~開幕~

「…………ッ!?」 おそるおそるドアを開けて、中へと一歩踏み出した途端、僕は明るい光に包まれて、余りの眩しさから目を細めてしまう。そして、ライトを持っていない方の手で光の眩しさから少しでも逃れようと両目を覆う。 ――パチパチッ ――パチッ ――パチッ――パチッ そして、どこからか聞こえてくる、盛大な拍手の音―― 僕は、とりあえず何が起こっているのか理解するために、ゆっくりと目を開けて辺りを見渡してみる。 まず、僕の目に入ってきたのは広すぎる部屋の中央にある、大きくて丸い形の台のような場所。まるで、誰かが何かを演じる場所みたいだ。 そして、その大きくて丸い台の上から垂れ下がっている赤くて派手な幕。 中央にある丸くて大きくな台の周りに、たくさん飾ってある色とりどりで綺麗な風船。 何よりも、僕が驚いたのは中央にある大きくて丸い台をぐるっと囲むように配置してある席だった。しかも、その席を埋め尽くすほどのたくさんの人が座っていて、僕がドアを開けて中に入ってきた途端に、盛大な拍手をしてきたのだ。 「紳士淑女の皆様方……私、Rが率いるサーカスへ、ようこそお越しくださいました。それでは、これより《シルク・ドゥ・ノワール》の開幕です。どうぞ、ごゆるりとお楽しみ下さいませ。」 ふと、どこからかRと名乗る男の人の声が聞こえくる。そして、席に座って盛大な拍手をしていた人達が、その男の人の声が聞こえてきた途端に、ピタッと拍手を止めた。 そして、僕は気付く――。 Rと名乗る男の人の声も、僕を結果的に、ここまで導いてくれた謎の声と同じように無機質で誰かが意図的に変えてある声だということに………気付いたのだった。

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