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~開幕~

「き、きみは…………僕をここまで連れてきた人……なの?」 「アレン…………きみハ、危機が迫っテイるっテイうノニ、そんナ下らナイことガ気になルノかイ?とにかく時間ガなインだ。演目ヲ演じる奴らハ、今………準備中だカラね。でも、もうスグ始まっテしまう。」 「………ッ!?」 ふいに、僕の前にピエロの格好をして、太っている人物が現れた。しかし、ピエロの格好をした人物の顔には、両目を瞑って涙を流している表情の仮面が着けられていて、肝心の顔は分からない。 ――そのピエロの格好をした人物が出てきた途端に、マネキンのような人が座っている客席から激しいブーイングが起こる。しかし、ブーイングをしているというのに、相変わらずマネキンのような奴らは不気味な笑顔を浮かべたままだ。 「時間がナイから、簡単に言うネ。これカラ演目ヲ演じテくる奴らハ、アレン…………きみヲ襲っテくる。でも、弱点がアルんダ。何が弱点かは君ガ考えナイとイケないけど、スノードロップで弱点デある物ヲ具現化できる。だカラ、それデ…………奴らにトドメヲさすンだ。分かったかイ?」 「そ、そんなことを言われても………」 僕は太ったピエロの格好をした人物の言葉を聞くと、訳が分からず――余りの恐怖から体をガタガタと震えて目の前にいるピエロの顔を見上げる。しかし、仮面を着けているせいでピエロが、どんな表情を浮かべているかは分からない。 「そろそろ、サヨナラノ時間ダ。また、会えるとイイネ………可愛いアレン。きっと、きみナラ大丈夫ダよ。」 「………ま、待ってよ………!!」 ふいに、太ったピエロが身を翻して僕の前から、どこかへと行こうとしているのが分かり、慌てて手を伸ばし、ピエロを引き止めようとする。 しかし――、 「紳士淑女の皆様方、お待たせいたしました。我がサーカス団員の準備が整いました。これより、演目を開始いたします。まず、最初に御覧頂くのは、ナイフ使い兼猛獣使いの新人《P》の演技でございます。どうぞ、お楽しみ下さい。」 ピエロを引き止めるため手を伸ばした僕の行動もむなしく、ピエロはどこかへといなくなってしまい、代わりに先程の《R》という男の人の声が客席内に響き渡る。 そして、ブーイングをしてきた客席のマネキンのような奴らは《R》という男の人の声が聞こえてきた途端にブーイングをやめて、盛大な拍手をしてきたのだった。

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