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~猛獣使い兼ナイフ投げの《P》~
―――ズッ
――ズッ
―――ズルッ
ふいに、客席に座っている、マネキンのような人物達の盛大な拍手の音の他に、何が這いずるような音が、どこからか聞こえてくる。
しかし、盛大な拍手の音の方が大きくて、その何かが這いずるような音に気付くのに少し時間がかかってしまった。
――ズルッ
――ズッ
――ズルッ
ピタッ――!!
僕が盛大な拍手の合間から、何かが這いずるような音に気付いてから、尚も客席の方から聞こえる拍手の音と何かが這いずる音は聞こえていたが、急に拍手の音も這いずる音も聞こえなくなり、僕は思わず体をビクッと震わせてしまう。
そして――、
僕は客席が感じる視線とは別に、背後から何かがいる気配を感じて、体を震わせながらも、おそるおそる背後へ振り向いた。
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