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~猛獣使い兼ナイフ投げの《P》~
ーーーいつも読んでた新聞紙
ーーーあの朝聞こえた車のクラクションの音
(もう、間違いない……)
(今、僕の目の前にいて僕を襲ってくるこの黒い大蛇は……かつて、パパ……だった人だ――)
そう確信した僕はピエロの言葉を信じて右手に持っているスノードロップを黒い大蛇の《P》にかざす。
そして心の中で、ある物を強く描き出す。
すると――、
「な、なにを…………なにをするつもりだ!?アレン……お前は……まさか!!」
「や、やめろ……それを思い浮かべるな……やめろぉぉぉっ!!!」
今まで余裕だった大蛇が僕が心の中である物を思い浮かべた途端に苦しげに身悶えながら大声で喚きだしーー、
「……パパ、これで最後だ!!」
スノードロップの花が完全に僕の思い浮かべた物に姿を変えてそれを大蛇へと突き付けると先程まで大声で喚いていた大蛇の声がピタリと止まる。
僕が黒い大蛇へと突き付けたもの――。
それはパパが名前も知らない女の子へキスを迫る写真だった。
僕が目の前のパパという黒い大蛇に写真を突き付けると、周りを囲んでいた新聞紙がラッパの形から本来の新聞紙の形に戻っていき、パパという黒い蛇をあっという間に吸い込むのだった。
新聞紙の真ん中には人間だった頃の生きてたパパが苦しげに呻いている写真が載っていて見出しには、こう描かれる。
《エリート警察官の男性、年端もいかぬ少女に卑猥な行為をして逮捕!!エリート警察官の心の闇とは!?》
そして、最後にはパパが炎に焼かれたように新聞紙も炎に包まれて跡形もなく消えるのだった。
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