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~首刈りジャグラー《K・ジェイ》~》
※ ※ ※ ※
「なんと、愚者であるエリート会社員は実の息子アレンによって地獄へと堕とされた!紳士淑女の皆様方、勇敢なる勝者アレンに盛大なる拍手をお願いいたします!!」
黒い大蛇が炎に包まれて、姿を消すと朗らかな《R》の声が再び響き渡る。そして、その《R》の楽しげな声とは裏腹に観客のマネキンのような奴らは盛大なる拍手どころか声さえ出さずにシーンと静まりかえっている。
「…………おやおや、紳士淑女の皆様方は案外と我が儘のようで。このくらいの演目では満足できないと仰いたいのですね?」
ーーーパチ、パチッ……
ーーパチ、パチッ……
《R》が、どことなく皮肉めいた言葉をマネキンのような観客へ問いかけると、その途端に不気味な程、静まりかえっていた観客席の方から盛大な拍手が聞こえてくる。
「了解しました。では、そんな我が儘な紳士淑女の皆様方へとっておきの演目をご用意致しましょう。次なる演者は首刈りジャグラー《K・ジェイ》でございます。皆様、彼の華麗なるジャグラーをお楽しみ下さいませ!!」
僕は《R》のその楽しげな声を聞くと、思わず体をビクッと震わせてしまった。きっと顔も真っ青になっているに違いない。
【首刈り】
子供である僕にとって、その言葉を聞くだけでも恐ろしい。
以前は、エディの事を弱虫とバカにして、弱冠見下していた僕だったけれど、出来ることなら彼に謝りたい。
しかし、そんな願いも虚しくーーー
僕は、これからまた……どんな恐ろしい奴が出てくるのか恐怖に身を震わせる事しか出来ないのだった。
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