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~首刈りジャグラー《K・ジェイ》~
―――ヒュッ
《K・ジェイ》が余りにも素早く、僕の前に移動し、そして右手に持っている鎌を僕の首に向かって振り降ろそうとしたため情けないことに微動だにする事もできない。
(こ、このままじゃ………僕の首が……刈られちゃう……っ…………)
そう頭の中では思っていても体は言う事をきかず逃げる事もできずに、僕は反射的に目をギュッと瞑ってしまうのだった。
しかし、目を瞑って暫くしてからも何も起こらない事を不思議に思った僕は、おそるおそる目を開ける。
僕の首に鎌の先が少しだけ、くい込んでいるのは分かる。しかし、僕が分からないのは、鎌の先を僕の首にくい込ませているものの、まるでビデオテープの停止ボタンを押したときのように動かない《K・ジェイ》の様子についてなのだ。
「おっと、お前の首の美しさに……ついつい見とれちまってたぜ。だが、次はこうはいかないからな……必ずお前を……お前を……始末してやる……っ……!!」
急に我にかえった《K・ジェイ》が呆然としたままの僕へと吐き捨てるように言い放ったのだった。
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