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~首刈りジャグラー《K・ジェイ》~

ガランッ………… とうとう《K・ジェイ》の首を僕自らが刈ってしまった。 《K・ジェイ》―――ジャック自身が望んだ事で僕へと頼んできた事とはいえ、やっぱりショックを受けてしまい、僕は持っていた鎌を床へと落としてしまってから、しりもちをついてしまったのだ。 「ジャック……どうして、君はそんなに……安らかな顔を……しているの?僕が、君を見殺しにしたかもしれないのに、どうして……っ…………」 「………………」 《K・ジェイ》―――ジャックは答えない。僕がこの場所に連れて来られた時と、同じだ。でも、ひとつ分かったことがある。 僕が鎌を渾身の力で振り降ろし、《K・ジェイ》―――ジャックの首を刈った時、その弾みで顔に被っていた両目を閉じて涙を流している柄の描かれた仮面が割れ、《K・ジェイ》そのものの顔が現れた。 ―――苦悶の表情を浮かべていると思っていたのに。 ―――今まで他人の顔を刈ってきた自分の鎌で首を刈られたのだから。 でも、僕がおそるおそる震える足で近付いてから《K・ジェイ》の表情を確認すると、そこには苦悶の表情どころか、安らかな表情を浮かべて横たわる彼の姿があったのだった。

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