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~首刈りジャグラー《K・ジェイ》~
「おやおや、我らが団員の《K・ジェイ》こと首刈りジャグラーは、なんとなんと自らが愛する天使……アレンによって逆に己の首を刈られるという何とも醜く無様な最後を迎えてしまいました―――が、紳士淑女の皆様方……どうか――我がサーカス団の一員だった《K・ジェイ》の最後に盛大な拍手をお願いいたします!!」
パチッ …………
パチ、パチッ…………
まるで、《K・ジェイ》の最後を楽しむかのように愉快げな団長である《R》の不快な声が聞こえてきたかと思うと、それに反応するかのように観客席から《紳士淑女の皆様方》と呼ばれているマネキンのよつな不気味な観客達の拍手の音が辺りに響き渡る。
―――《K・ジェイ》……ジャックの最後を嘲笑うかのように愉快げに話す団長の《R》―――。
―――そして、その声に反応するかのように盛大な拍手をする不気味な《紳士淑女の皆様方》―――。
あまりの不快さに僕の胸の中はモヤモヤした得たいの知れない黒い感情でいっぱいになる―――が、
(あんな奴らを相手にするよりも、僕には……まだ、やることがある……ジャックにお別れを告げなくちゃ……彼の魂が安心して天国へ行けるように……っ…………)
僕はモヤモヤとした気持ちを落ち着かせるため、深呼吸をしてから右手に持っているスノードロップの花をグッと握りしめると、安らかな表情を浮かべて横たわったまま《K・ジェイ》の唇へと自分の唇を軽く重ね、かつてジャックが僕にしてくれたような優しいキスするのだった。
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